幕下の位置付けは?日本の相撲で関取を目指す力士たちの舞台

入門
               

監修者・水口 剛

元力士・祥鳳剛(本名:水口剛)。春日山部屋に所属し、2004年に初土俵、幕下東四枚目まで昇進。白鵬関の代理として弓取り式を務めた経験を持つ。
引退後はYouTubeチャンネル「お相撲ぐっちゃんねる」の運営や稽古会の主催、相撲体験イベントの企画などを通じて、相撲文化の国内外への発信に尽力。
Netflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』では炎鳥役として出演したほか、舞台パフォーマンスなどにも参加。
現在は訪日外国人向けのインバウンド相撲イベントや相撲ショーを開催するほか、パーソナルトレーナーとしても活動し、相撲の魅力を伝えながら健康づくりにも貢献している。

幕下は、大相撲の階級の一つで、三段目の上・十両の下に位置します。ここには関取昇進を狙う実力者が120名集まり、激しい昇進争いが繰り広げられます。幕下以下は力士養成員と呼ばれ、給与ではなく本場所ごとの手当で活動します。この階級は、将来の横綱や大関候補が鍛え上げられる重要な場であり、相撲観戦の醍醐味が詰まっています。

幕下とは何か

幕下は、大相撲の階級の中で三段目の上、十両の下に位置します。下位の序二段や序ノ口を経て、実力を磨いた力士が到達する場所であり、ここからさらに関取(十両以上)を目指します。幕下の番付は東西に分かれ、上位から下位まで合計で120名が在籍します。この人数は固定されており、昇進や降格によって入れ替わります。

大相撲の主な階級構造

順位階級名人数目安給与の有無
1横綱1〜2名
2大関数名
3関脇数名
4小結数名
5前頭(幕内)約30名
6十両約28名
7幕下120名無(手当のみ)
8三段目約200名
9序二段約230名
10序ノ口約40名

幕下力士の待遇と生活

幕下以下の力士は、「力士養成員」と呼ばれます。関取とは異なり、月給はなく、場所ごとの手当が支給されます。この手当は番付や成績によって変動し、十両昇進を果たすことで初めて安定した給与が得られます。

幕下と十両以上の待遇比較

項目幕下(力士養成員)十両以上(関取)
身分養成員関取
月給約100万円以上
手当有(場所ごと)有(給与に加算)
支度部屋下位力士用関取専用
着物・外出制限あり自由度高い
弟子の付き人

幕下力士は、関取の付き人として稽古や移動、身の回りの手伝いを行うことも多く、日常生活も含めて相撲の世界での礼儀作法や振る舞いを学びます。


幕下の番付と取り組み

幕下の番付は東西制で、上位から下位まで細かく順位が設定されます。各場所での取組数は7番が基本で、勝ち越しか負け越しかによって翌場所の番付が上下します。幕下上位に位置する力士は、十両力士との対戦機会も得られることがあり、昇進の大きなチャンスとなります。

幕下番付のイメージ

区分特徴昇進の可能性
幕下上位(1〜15枚目)十両力士との対戦あり勝ち越しで十両昇進の可能性
幕下中位(16〜60枚目)同階級内での取組中心上位進出が目的
幕下下位(61〜120枚目)三段目との入れ替え圏内負け越しで降格の危険

昇進と降格の仕組み

幕下から十両へ昇進するには、幕下上位の番付で6勝1敗または全勝などの優れた成績を残す必要があります。逆に、幕下下位で負け越すと三段目への降格が待っています。

昇進・降格条件の目安

状況条件例結果
昇進幕下上位で6勝以上十両昇進
現状維持幕下中位で4勝3敗同階級維持
降格幕下下位で2勝以下三段目降格

この厳しい入れ替え制度が、幕下の取組に独特の緊張感をもたらしています。


まとめ

幕下は、力士の将来性を見極めるには格好の階級です。ここでの取組には、将来の横綱や大関候補が多数含まれています。まだ荒削りながらも、力強さや勢いに満ちた相撲が展開され、観客にとっては非常に見応えがあります。また、幕下から一気に十両、幕内と駆け上がるシンデレラストーリーも珍しくありません。

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