相撲を観戦すると、同じ四つ相撲でも力士ごとに得意な型が違います。両者の得意手が逆になると「喧嘩四つ」と呼ばれ、相撲ならではの駆け引きが生まれます。本記事では、初心者や外国人でも理解できるように、喧嘩四つの意味、特徴、観戦のポイントを詳しく解説します。
喧嘩四つとは
喧嘩四つとは、両力士の得意な差し手が逆になる四つ相撲のことです。たとえば、一方が右四つ(右手が内、左手が外)を得意とし、相手が左四つ(左手が内、右手が外)を好む場合、この対戦は喧嘩四つになります。
この状態では、正面からがっぷり四つに組むのが難しくなります。そのため、差し手を封じ合う激しい攻防が展開されやすく、立ち合い直後からスピード感ある取組になることが多いのです。
喧嘩四つと相四つの違い
区分 | 喧嘩四つ | 相四つ |
---|---|---|
差し手 | 得意手が逆(右四つと左四つ) | 得意手が同じ(右同士、左同士) |
組みやすさ | がっぷり組みにくい | がっぷり組みやすい |
戦術の特徴 | 技の応酬が多い、巻き替え・投げが出やすい | 力比べになりやすい |
見応え | 駆け引きが目立つ | 体格や腕力の勝負になりやすい |
喧嘩四つで出やすい技
喧嘩四つの場面では、次のような技が多用されます。
技の名称 | 特徴 |
---|---|
おっつけ | 相手の腕を押さえ込み、差し手を封じる動き |
巻き替え | 差し手を抜いて逆に差し直す技 |
外掛け | 外側から足を絡めて崩す戦術 |
外四つ投げ | 外を取った力士が有利に投げを仕掛ける |
これらの技は一瞬の判断で成功が左右され、試合が動くきっかけになります。
喧嘩四つの観戦ポイント
初心者や外国人観戦者が注目すると面白い点を整理すると次のようになります。
観戦ポイント | 解説 |
---|---|
立ち合い直後の差し手 | どちらが先に得意の手を差すかが勝負の分かれ目 |
腕の位置 | 相手の差し手を抑えるための体のぶつけ方に注目 |
体重移動 | 技を仕掛ける瞬間の腰の動きが勝敗を左右 |
外を取った側の攻め方 | 投げに出るか、寄り切りに出るかに注目 |
こうした点を意識すると、試合をより深く楽しめます。
歴史に残る喧嘩四つの名勝負
喧嘩四つは歴史的にも数々の名場面を生んできました。
- 大鵬と柏戸
昭和を代表する両横綱の対戦は、典型的な喧嘩四つの名勝負でした。体格も力量も拮抗し、差し手の攻防で勝敗が決まる場面が多く見られました。 - 貴乃花と曙
平成の黄金カード。巨漢の曙に対し、貴乃花は喧嘩四つの状態を利用して投げや足技を駆使し、鮮やかな勝利を収めることがありました。 - 千代の富士と北天佑
軽量ながらも強靭な筋力を誇る千代の富士は、喧嘩四つを得意とし、相手の巨体を投げ飛ばす豪快な取組で人気を集めました。
現役力士と喧嘩四つ
現役力士の中にも、喧嘩四つを得意とする力士が多くいます。
力士 | 得意型 | 喧嘩四つでの特徴 |
---|---|---|
照ノ富士 | 右四つ | 外四つからの投げが強力 |
貴景勝 | 左四つではないが差し合いを嫌う | 差される前に突き押しで勝負する |
正代 | 左四つ | 差し手を生かした寄り切りが多い |
若元春 | 右四つ | しぶとく組み止めて崩すタイプ |
喧嘩四つの展開は、こうした力士の個性を強調する舞台にもなっています。
外国人観戦者への補足
外国人に説明するときは、相四つは「same grip style」、喧嘩四つは「opposite grip style」と表現するとわかりやすいです。また、「喧嘩」という表現は戦いのイメージですが、実際には力士同士の戦術的な組み合わせを意味しています。
相撲は武道的な精神と観客を楽しませるエンターテインメント性を兼ね備えており、喧嘩四つを理解することでその魅力をより深く感じられます。
まとめ
喧嘩四つとは、左右の得意手が逆同士の力士が組み合う四つ相撲のことです。相四つに比べて組みにくく、差し手をめぐる駆け引きや多彩な技の応酬が展開されやすいのが特徴です。
歴史的な名勝負も喧嘩四つから多く生まれており、現役の力士たちもそれぞれの得意型を駆使して戦っています。観戦の際には、「どちらの型になるか」「差し手を取れるかどうか」に注目するだけで、試合の面白さが大きく広がります。
相撲初心者も外国人観戦者も、喧嘩四つを知ることが相撲観戦を一層楽しむ鍵になるでしょう。
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