相撲を代表する豪快な投げ技「上手投げ」についてわかりやすく解説

入門
               

監修者・水口 剛

小学6年生から相撲を始め、報徳学園高校、立命館大学を経て春日山部屋に入門し、プロの力士として活躍。
2016年に現役を引退後、人気のサブスクリプション型ドラマ『サンクチュアリ』に出演。
現在はYouTubeチャンネル「お相撲 ぐっちゃんねる」を運営し、相撲の稽古方法や技術、現役時代の体験談などを発信。

上手投げは相撲における代表的な投げ技のひとつで、相手の腕の上からまわしをつかみ、腰の回転と引きつけで一気に倒す迫力ある決まり手です。力士の体格や戦術によって見え方が変わり、土俵際での逆転劇の主役にもなります。外国人の方にも理解しやすく、その美しさと力強さは観戦の魅力を高めます。

上手投げの基本と意味

上手投げの「上手(うわて)」は、相手の差し手(内側に差し込んだ腕)の上からまわしを握ることを指します。この位置からまわしをつかむことで、自分の腕の位置が高くなり、相手に対して有利な力の方向を生み出すことができます。そこから腰を回転させることで相手の体勢を崩し、投げ倒します。力士によっては、自分の得意な構えや相手の癖を利用して、最初から上手を狙いに行く場合もあります。

用語意味
上手(うわて)相手の腕の上からまわしを握る位置
差し手相手の体の内側に差し込む腕
まわし力士が腰に巻いている布製の帯
腰を入れる下半身を安定させ、力を効率的に伝える姿勢

上手投げの動作の流れ

上手投げを成功させるには、単に力を入れるだけではなく相手の重心を崩すタイミングが重要です。以下は一般的な手順です。

ステップ動作内容
1相手と組み合い、上手を確保する
2自分の体を低く構え、腰を近づける
3まわしを引きつけながら腰を大きくひねる
4相手の足が浮く瞬間に体全体で投げる

投げる瞬間に腕の引きつけと腰の回転を同時に行うことがポイントです。この同調が取れないと、相手に踏ん張られて技が決まりません。


力士による戦術の違い

上手投げは、力士の体格や戦い方によって使い方が異なります。大型力士はその体重と腕力を活かして豪快に投げますが、小柄な力士は素早い動きとタイミングで技を決めます。特に土俵際での逆転劇は見どころの一つです。

タイプ特徴戦術例
大型力士重量と腕力で押し切るじっくり組んでから投げる
中型力士バランスの良い戦術相手の崩れを狙って投げる
小型力士素早い動きで翻弄一瞬の隙をついて投げる

上手投げと似た技との比較

外国人観戦者が混同しやすい技として「下手投げ(したてなげ)」や「掬い投げ(すくいなげ)」があります。違いを理解すると、観戦の楽しみが増します。

技名上手の位置動きの特徴
上手投げ相手の腕の上から握る腰を入れて大きく回す
下手投げ相手の腕の下から握る低い位置から引き落とす
掬い投げまわしを持たずに体を抱え上げるすくい上げるように投げる

観戦時の注目ポイント

上手投げを見るときは、技の前後の動きにも注目すると面白さが倍増します。

  • 上手を取る瞬間の駆け引き
  • 腰と腕の連動
  • 投げる直前の相手の体勢の崩れ
    これらを意識して見ることで、単なる勝敗だけでなく力士同士の高度な読み合いが見えてきます。

まとめ

上手投げは相撲の華やかさと迫力を象徴する技です。力士の個性や戦術が色濃く出るため、同じ技でも試合ごとに違った魅力があります。外国人の方が相撲を初めて観戦する場合でも、この技は一目で迫力と技術の高さを感じられるためおすすめです。

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