大相撲の床山とは?相撲文化を支える髷結い職人の魅力と役割

入門
               

監修者・水口 剛

小学6年生から相撲を始め、報徳学園高校、立命館大学を経て春日山部屋に入門し、プロの力士として活躍。
2016年に現役を引退後、人気のサブスクリプション型ドラマ『サンクチュアリ』に出演。
現在はYouTubeチャンネル「お相撲 ぐっちゃんねる」を運営し、相撲の稽古方法や技術、現役時代の体験談などを発信。

大相撲の世界には、土俵で戦う力士だけでなく、力士の象徴である髷を結い上げる専門職「床山」が存在します。髷は単なる髪型ではなく、日本の伝統文化と格式を体現する重要な要素です。特に関取以上が結う大銀杏は、高度な技術と経験が求められる職人技の結晶です。本記事では、その仕事内容、階級制度、入門方法までをわかりやすく解説します。

床山の仕事内容

床山は、大相撲の力士が土俵に立つために欠かせない髷結いの専門職です。特に関取以上の力士が結う「大銀杏」は、華やかさと威厳を備えた形で、床山の技術の粋が詰まっています。

主な業務内容の流れ

  1. 髪を洗い、乾燥させる
  2. 髪に油を塗り、形を整える
  3. 大銀杏や丁髷の形に結い上げる
  4. 取組後の手直しや整髪

大銀杏は形の美しさだけでなく、取組中の崩れにくさも重要です。結びの際には、髪質や湿度、力士の頭の形まで考慮します。熟練の床山は一目見ただけで、その日の髪の状態を判断できます。

業務内容必要な技術
洗髪髪と頭皮の清潔を保つ丁寧さと手際の良さ
油付け髪に粘りと艶を与える適量調整
髷結い大銀杏・丁髷など高度な結髪技術
手直し取組後の補修即応力

床山の階級制度

床山にも力士と同じように階級制度があります。階級が高くなるほど、結える力士の番付も高くなります。

階級特徴
特等床山横綱や大関の髷を結う最高位
一等床山関脇・小結クラスを担当
二等床山前頭上位まで担当可能
三等床山十両力士まで担当
四等床山幕下上位を担当
五等床山見習いに近い立場で修行中心

最高位の特等床山になるには、長年の経験と卓越した技術、さらに人望が必要です。相撲界での信頼は、日々の丁寧な仕事と安定した技術力で築かれます。


床山になるための入門条件

床山になるためには、義務教育を修了した19歳未満の男子であれば応募が可能です。理容師・美容師の免許は不要で、経験も問われません。

条件項目内容
年齢19歳未満
性別男性
学歴義務教育修了
経験不問
資格不要

入門後は相撲部屋に所属し、先輩床山や師匠から技術を学びます。修行期間はおおよそ10年以上に及び、一人前になるまで多くの実践経験が求められます。


床山に必要な資質と心構え

床山は力士の髪を預かる立場であるため、集中力と繊細さが求められます。また、相撲界特有の礼儀や上下関係を尊重できる人でなければ務まりません。

求められる主な資質

  • 手先の器用さ
  • 清潔感と衛生管理能力
  • 忍耐力と集中力
  • 礼儀正しさと謙虚さ

床山は裏方でありながら、土俵の空気を左右する存在です。髷が美しく整っていれば、力士の自信や土俵上での姿勢にも良い影響を与えます。


外国人にも伝わる床山の魅力

外国人観光客にとって、床山の技術は日本の伝統文化そのものです。髷結いは単なるヘアスタイルではなく、日本の美意識と相撲の歴史が融合した文化財のような存在です。

観戦ツアーでは、床山の仕事を間近で見学できる機会も増えており、その手際の良さや道具の扱いに感銘を受ける人も少なくありません。


まとめ

床山は、大相撲の華やかな表舞台を陰で支える重要な存在です。技術力・経験・礼儀を兼ね備えた職人として、力士と共に土俵の歴史を紡いでいます。初心者や外国人にとっても、床山の存在を知ることで、相撲観戦がより深く楽しめるはずです。

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