大相撲力士の給料はいくらくらいなのか?番付別月収から懸賞金、引退後の収入事情までわかりやすく解説

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監修者・水口 剛

元力士・祥鳳剛(本名:水口剛)。春日山部屋に所属し、2004年に初土俵、幕下東四枚目まで昇進。白鵬関の代理として弓取り式を務めた経験を持つ。
引退後はYouTubeチャンネル「お相撲ぐっちゃんねる」の運営や稽古会の主催、相撲体験イベントの企画などを通じて、相撲文化の国内外への発信に尽力。
Netflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』では炎鳥役として出演したほか、舞台パフォーマンスなどにも参加。
現在は訪日外国人向けのインバウンド相撲イベントや相撲ショーを開催するほか、パーソナルトレーナーとしても活動し、相撲の魅力を伝えながら健康づくりにも貢献している。

相撲が好きな初心者や、日本文化に興味を持つ外国人にとって、「力士の給料」や収入の仕組みは意外と知られていません。力士は階級である番付によって月給が変わり、十両以上の「関取」にならないと月給は発生しません。本記事では、番付ごとの収入の違いや、懸賞金、賞金、引退後の生活支援制度までをわかりやすく解説します。相撲観戦の見方が変わる内容です。

力士の給料の仕組みと番付ごとの基本月収

相撲の世界では、力士の給料は「番付」というランキングによって決まります。番付が上がれば給料も上がる、非常に明確な実力主義の構造です。横綱、大関などの上位力士には高額な月給が支払われますが、十両未満の力士には月給が支給されないというのが現実です。

番付月給(円)
横綱約300万円
大関約250万円
関脇・小結約180万円
前頭約140万円
十両約110万円
幕下以下月給なし(手当のみ)

幕下以下の力士は給与がないため、生活支援に頼る厳しい環境に置かれます。逆に十両以上に昇進すると、生活が一変し、力士としての地位も確立されます。番付によって収入に大きな差が出るのが、相撲の世界の特徴です。


力士が受け取る各種手当と賞与制度

月給以外にも、力士はさまざまな形で収入を得ています。主なものには勝ち星手当、本場所手当、特別手当、賞与などがあります。これらは成績や功績によって支給され、力士の努力や成果に対する報酬です。

手当の種類内容
勝ち星手当場所ごとの勝利数に応じて支給
本場所手当出場する番付に応じて一律支給される
特別手当三賞(敢闘賞、殊勲賞、技能賞)を受賞で支給
年2回の賞与成績や功績に応じて夏・冬に支給

これらの手当があることで、力士の収入は実質的に大きく増える可能性があります。中でも三賞を複数回受賞するような力士は、名声だけでなく収入面でも大きなメリットを得られるのです。


幕下以下の力士の生活環境と収入の実態

幕下以下の力士には月給がありませんが、相撲部屋からの生活支援を受けることで日々を送っています。食事、住まい、稽古場などの生活インフラは部屋が提供しますが、個人的な出費や医療費などは自己負担となることが多く、金銭的には厳しい生活となります。

力士の支出例を以下にまとめました。

項目支出の内容
生活費日用品、外出費、スマホ代など
医療費通院、薬代、治療費など
交際費・仕送り実家への送金、友人との交際費など

十両に昇進すれば生活は劇的に改善されます。衣服や道具の支給、取り組み後の懸賞金獲得、地方巡業での手当なども加わり、力士としての地位も社会的に認められます。だからこそ、幕下力士は日々厳しい稽古に励み、昇進を夢見て努力を続けているのです。


懸賞金と優勝賞金のリアルな金額とは

本場所では、注目の取り組みに懸賞金がかけられることがあります。企業が提供するこの懸賞金は、土俵を回るのぼり旗の本数で視覚的に確認できます。1本あたりの金額は約62,000円ですが、そのうちの手取り額は約3万円程度で、残りは積立金として保存されます。

内容金額(円)
懸賞金1本の総額約62,000
力士の受取額約30,000
供託金(積立)約32,000

また、幕内優勝者には約1,000万円、十両優勝者には約200万円の賞金が支給されます。加えて、三賞(敢闘賞、殊勲賞、技能賞)を獲得すれば、1つにつき約200万円が支払われます。

懸賞金や賞金は一時的なものですが、人気と実力を持つ力士にとっては非常に大きな収入源となります。


外国人力士の収入事情と母国との関係

外国人力士の場合、母国の家族に仕送りを行うケースも多く、為替変動の影響を受ける点が日本人力士とは異なります。収入のうち一部を現地通貨に換金して送金するため、経済状況にも敏感です。

また、来日後すぐに日本語や生活習慣を身に付ける必要があり、語学や文化的な適応も求められます。言語の壁を乗り越えて活躍する力士たちは、精神的にも非常に強い覚悟を持っています。

横綱白鵬、朝青龍、栃ノ心などの成功例が示すように、外国人力士にもチャンスが公平に与えられており、世界中から相撲界に挑戦する若者が集まっています。


引退後の年金制度とセカンドキャリアの道

現役を引退した力士には、力士年金や退職金制度があります。関取として一定期間活動していた場合、生活支援としての年金が支給されます。また、協会に長く在籍していた場合には退職金も加わり、引退後も安定した生活を送ることが可能です。

条件支給内容
関取歴10年以上年金支給対象
協会在籍20年以上年金+退職金を支給

さらに、年寄名跡を取得すれば、親方として部屋を持ち、後進を指導する道が開かれます。ほかにも解説者やタレント活動、講演会など、セカンドキャリアの幅は広がっています。


まとめ

力士の給料は、実力と地位によって大きく変化するシステムです。月給制が適用されるのは十両以上の関取であり、それ以下の力士は部屋の支援で生活を支えています。番付が上がるにつれて、手当や懸賞金、優勝賞金など、さまざまな報酬が加わり、力士としての生活は大きく向上します。

また、引退後も年金制度や親方への道が用意されており、相撲界全体が一人の力士の生涯を支える構造を持っています。このように、相撲という競技は「戦い」だけでなく、「生き方」そのものに深く関わっているのです。して華やかではあるものの、裏には地道な努力と厳しい現実があります。このような背景を知ることで、相撲を見る目もより深まり、力士たちへの尊敬が一層増すのではないでしょうか。

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