四股とは何か?相撲の基本動作がもたらす身体と心への効果

入門
               

監修者・水口 剛

小学6年生から相撲を始め、報徳学園高校、立命館大学を経て春日山部屋に入門し、プロの力士として活躍。
2016年に現役を引退後、人気のサブスクリプション型ドラマ『サンクチュアリ』に出演。
現在はYouTubeチャンネル「お相撲 ぐっちゃんねる」を運営し、相撲の稽古方法や技術、現役時代の体験談などを発信。

四股は、相撲に欠かせない基本動作であり、稽古や土俵入りなどで必ず行われます。この動作は単なる儀式ではなく、下半身の強化・柔軟性の向上・精神集中など多くの効果をもたらします。さらに、古くから日本の神事や農耕儀礼とも結びつき、文化的な価値も高い運動です。本記事では、四股の歴史、正しいやり方、健康への応用までを詳しく解説します。

四股の歴史と文化的背景

四股の起源は古く、日本の神事や農耕儀礼にまでさかのぼるといわれています。力士が足を高く上げて地面を踏みしめる動きは、大地を鎮め、邪気を払う儀式的意味を持っていました。

相撲が武芸や娯楽として発展した江戸時代には、四股はすでに力士の基本稽古として定着していました。土俵入りで披露される四股は、観客に対して力士の存在感と気迫を示す重要な場面でもあります。

特に横綱や大関は、四股の際に腰を深く落とし、足を高く上げることで、迫力と安定感を同時に表現します。この動作は美しさと力強さを兼ね備え、相撲文化の象徴的な所作といえるでしょう。


四股の正しいやり方

四股は見た目以上に全身を使う運動です。以下は基本のフォームです。

手順動作内容注意点
1足を肩幅より広く開く重心を安定させる
2片足をゆっくりと持ち上げる膝を伸ばし、つま先を外側に向ける
3高く上げた足を踏み下ろす息を吐きながら行う
4反対の足も同様に行う左右交互に繰り返す
510回を目安に続ける初心者は回数よりフォーム重視

初心者は足を高く上げすぎず、腰や膝への負担を避けることが大切です。慣れてきたら足の高さ・腰の沈み込みを意識し、より負荷をかけることで効果を高められます。


四股の筋肉別効果

四股は単なる下半身運動ではなく、体幹や上半身にも影響を与えます。

主に鍛えられる部位効果
大腿四頭筋(太もも前)下半身の安定・踏ん張り力向上
ハムストリングス(太もも裏)走力やジャンプ力の強化
大臀筋姿勢改善と骨盤の安定
腹横筋・腹直筋体幹の安定・腰痛予防
内転筋股関節の可動域拡大

このように、四股は下半身から体幹まで広範囲を鍛えられる総合運動です。


健康面でのメリット

四股の効果はアスリートだけでなく、日常生活にも役立ちます。

  • 転倒防止
     高齢者に多い転倒事故は、下肢筋力低下やバランス感覚の衰えが原因です。四股はこれらを同時に鍛えられます。
  • 冷え性改善
     太ももや臀部の大きな筋肉を動かすことで血行が促進され、体温維持がしやすくなります。
  • 腰痛予防
     股関節や骨盤周りが柔軟になることで、腰への負担が軽減します。

四股と日常生活への取り入れ方

四股は特別な道具や広い場所を必要とせず、室内でも実践可能です。

  • 朝のウォーミングアップとして10回
  • デスクワークの合間に5回
  • 入浴後のストレッチとして

また、運動不足の人は、足を高く上げずに腰をしっかり落とすだけでも効果があります。継続が最も重要です。


安全に行うための注意点

四股は比較的安全な運動ですが、誤ったフォームはケガの原因になります。

注意点理由
無理に足を上げない股関節や腰に負担がかかる
呼吸を止めない酸素不足でめまいの恐れ
滑らない床で行う転倒リスク防止
疲労時は回数を減らす筋肉損傷予防

まとめ

四股は相撲の象徴的な動きであり、全身運動としても極めて優秀です。正しいフォームと呼吸法を意識すれば、年齢や体力に関係なく誰でも取り入れられます。日常に取り入れることで、体力向上・姿勢改善・精神集中という多方面の効果が期待できるでしょう。

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